レインメイカー

その日は朝から鈍く暗い空が上空に広がり

遠くに見える大山の向こうには

うっすらとだが稲光も見えていた

 

雨が降るのも時間の問題かな

そしてthe style councilのcafe bleu

のレコードに針をそっと落とす

その軽快なリズムは空模様に対する

せめてもの復讐だと言わんばかりに

 

珈琲を飲みながら昨日の夜に巻いた

煙草に火を付けた

そのチョコレートフレーバーと珈琲の

相性が堪らなく良く、束の間の幸せを感じる

 

洗面台の鏡には

「言いたい事は特にありません」

とでも言いたげな虚ろな顔が映る

少しやつれて見えるのは無精髭のせいか

ここのところ続いている睡眠不足のせいか

多分、その両方だとしても

まぁ、どちらでも問題は無いのだった

 

そろそろ行かなくちゃ

貴方を迎えに

久しぶりに会う貴方は

どんな顔をするだろう

 

 

並んで歩きながら家に戻る途中

予想より早く雨が降り出し

瞬く間にアスファルトを黒く濡らした

 

傘を持っていない僕らは

すでに出来始めている水溜りを

避けながら歩いたけれど

これ以上濡れるのも躊躇われ

貴方の手を取って駆け出した

 

鍵をポケットから出すのに手間どう

その手は玄関の前に着いても尚

固くしっかりと握られており

やっとその事に気が付いてから

二人して笑いあった

 

この手を離してはいけない

そんな予感がしていた

何故かって、、、

 

何故なら

僕はレインメイカ

 

そして

金の雨は

降らすより

降る場所に居たいと願う男

 

そこがどんな未開の地であれ

 

貴方が側に居てくれたら