レイザーラモン

一向に好転しそうに無い現状に辟易していた

そうゆう種類の無力さに抗う術が無い事にも

それでも毎朝

天気予報を見て

それから

季節がいくつも移ろい変わって行った

 

手放す事も所持する事も

ただ苦痛にしか感じない

そんな関係だったと思う

 

五月の雨が降る朝の駅のホームで

そんな事を考えていた気がする

今は誰かの隣に居るであろう

君の事を想いながら

そして

知りうる全ての情報を

頭の中でかき集め

組み直し

時には破壊しながら

 

 

 

あの頃、僕の事を虜にした

君のあるてぃめっとレイザー

その質感を想像し

未来に想いを馳せた

 

美しい所作で繰り出される

君のあるてぃめっとレイザー

それは甘美な誘惑

他には何も必要無かった

 

その強烈な衝撃を

全身で受け止めようとした僕の

目論見は見事に外れる

次の瞬間

ある種の神々しさで持って

それは実行された

 

その流れるように美しい一連の動作の

全てがスローモーションに見えた

だが

身体は空中に舞っていた

僕は

スタナーを受けたスコット・ホールよろしく

華麗に宙を舞っていた

 

あれは

どこまでも圧倒的で暴力的

だがとてつもなく官能的な

神々の気まぐれな遊び

 

 

 

五月の雨が降る朝の駅のホームで

そんな妄想をしていた

 

今朝見た天気予報によると

雨は夜まで降り続くらしい

そして

その雨はやがて

この街をしっとりと濡らしていくのだろう