おじさんの森

薄暗い

ビルの部屋を

吹き抜ける

渇ききった風

おじさんは

夢を見ない

エロ動画を見つづける

核戦争でも起きればと

enterを叩いて

 

いつからか

憎しみばかりで

神様は多分居るとは思うけれど

優しさなどくれなかった

 

薄暗い

ビルの部屋で

横たわり

その低い天井を

見続けているおじさんは

あいも変わらず

何も知らない

自分の事さえ

何一つ

 

汚れた心でも

それでも

その黒髪は美しかった

本当に

美しかった

 

ふざけている訳では無いし

本気でも無いんだけれど

その流れる血を見て

素敵だと思ったり

真夜中に自転車を漕いで

遊んだりした事も

理由なんて

何も要らなかった

薄暗い

ビルの部屋で

 

汚れた心でも

それでも

その黒髪は美しかった

本当に

美しかった

 

いつかは

みんなの事を好きになるから

好きになって見ようと思うから

優しさを下さい

神様の

慈悲にも似た

その

優しさってやつを

 

薄暗い

その

ビルの部屋で