Yutaka Ozaki
裁くのが
君という
神ならば
そう
思えば
あの頃の僕らは
ただただ怠惰で時を過ごしていた
それは桜が散り始める季節まで続き
やがて
夏が来る頃
君は
僕の前から姿を消した
その頃の僕らは
毎日のように
疲れ果てた脳を
大量のアルコールで溶かし
手で巻いた煙草を吸いながら
The Doorsのレコードを聴き
そして
古いアメリカ映画の話に夢中になった
明け方近くなると
僕らは全裸のまま狭いベッドに潜り込んだ
後から君の白く小さな背中を抱きしめ
うっすらと汗ばんだ細い首筋にキスをすると
アルコールの混ざった小さな吐息が漏れた
君は自らの手で僕の固くなった男性器を
湿り気を帯び始めた女性器に導くと
更に奥まで入るように実に器用に姿勢をずらし
それから静かにゆっくりと腰を動かし始めた
粘膜同士が擦れ合う卑猥な音と共に
ドラッグにも似た快感が身体中を駆け巡るのに
そう時間はかからなかった
裁くのは
君という
神だから
あれから僕は
昨夜見た
夢の続きを見るように
4時間もの間
地下鉄の風に吹上げられていた
これが現実ならば
だとしたら
何を奪い
そして
何を奪われるのか
少し分かった気がした
あれから君は
あまりにも
曝け出された毎日の中で
ただ街灯にもたれていた
優しさにも似たrock'n roll
踏み潰された空き缶
でもやっぱり
何もかも
元のままに見え
街の何処かで
誰かのクラクションと
街路樹たちの歌が聴える
抱きしめて
愛してる
抱きしめていたい
それは
足音に降り注ぐ心模様のように
抱きしめて
愛してる
抱きしめていたい
最後まで
愛を囁いている
抱きしめて
愛してる
抱きしめていたい
つかまえて
街路樹たちの歌を
抱きしめて
愛してる
抱きしめていたい
壁の上
2人
影並べて
抱きしめて
愛してる
抱きしめていたい
それだけなのに
ただ
それだけでよかったはずなのに
尾崎豊に捧ぐ