Randy Rhoads

 

狂っている

でもまぁ

そんなもんだろう

それでいて

とても美しかった

狂気を帯びるたびに

その美しさは更に

列車のように

レールの上で

加速していく

 

 

 

 

 

Blind Faithの

Can't Find My Way Home

が流れる部屋の中で

水玉模様のワンピースを

ゆっく脱がせてゆく


彼女が上になる形での性行為

匂い立つような

その重なりあった

畝る結合部を

僕に見せつけるようにして

開かれた白い太ももには

青い血管が確かに走っている

それは形の良い少し小ぶりな

乳房にも見てとれた

それがとてもエロティックで

彼女の生暖かく湿り気を帯びた

女性器の中に

僕はすぐに射精をした

 


愛を理解し

憎しみは過去へ

そんな日々が確かにあったし

二人はそこに存在していた

でも何て言うのかな

本当に伝えたかった事なんて

はじめから無かったのかも知れない

現実じゃないような

そんな気がして

嘘に生きた二人

 

 

 

 

 

カノープスが見える頃

アルコールによって

すっかり肋骨の浮き上がった

痩せこけた身体を

やっとの事で

ベッドから起こす

それから

久しぶりに髭を剃り

君にもらった茶色い革靴を履く

 

 

多分

これが最後になるのだろう

そして

これで終わるのだろう

だから

当てもなくただフラフラと

自殺志願者のように街を彷徨う

そうして

僕の狂気もまた

列車のようにレールの上で

加速していった

 

 

 

 

やがて辿りついた

町外れにある

見晴らしのいい

小さな丘の上

思い描いたのは

墜落してゆく小型飛行

それは

純度100%の絶望の翼

美しいクラシカルなギターの旋律と共に

やがて

地上で大きな炎の塊となった

 

 

 

 

 

心の傷はまだ癒えず

更に僕を狂わせた

 

 

多分

これが最後になるのだろう

そして

これで終わるのだろう

 

 

いや

まだ始まったばかりか

きっと

永遠に続くのだろう

 

 

 

 

 

『狂ってるの?

でも、そんなものなのでしょう?

ご乗車お願いします

出発進行』

 

南風に水玉模様のワンピースを揺らしながら歩く彼女の声が聞こえた気がした

 

 

早く降りないと

すぐにでも降りないと

そして

さよならを言わないと

さっきから

冷たい汗が

背中を冷たう

 

 

 

列車はレールの上を

更に加速していく

 

美しいクラシカルなギターの旋律と共に

この世の狂気を

全て

飲み込みながら、、、

 

 

 

 

 


ランディ・ローズ に捧ぐ

Merry Christmas , Mr.Lawrence

 

飛び魚のアーチを潜る頃

貴方は貴方の理想とした世界を

もう手にしているだろうか

 

そして

 

さくらんぼの実る頃

貴方は夕陽に染まるあの空に

誰かの姿を探しているだろうか

 

 

 

カートとコートニーが恋に落ちる頃

貴方は厭がらずに

写真の中でちゃんと

笑っているだろうか

 

それから

 

静かな森の奥で

不良達が麻薬をやり続けている頃

貴方は知ってしまうだろうか

濁った水がある事を

 

 

 

僕が真夜中に戦場のメリークリスマスを観ている頃

きっと貴方は誰かの腕の中で

汚されていく準備をする

多分

とても美しく

汚されていく準備をする

 

快楽に

少し開いた唇と

エロティックな視線で

男性器を優しく手でしごきながら

 

 

 

 


願ったもの

関わる全ての人が幸せであるようにと

 

あの頃は

本気で願ったもの

全てを無かった事にして下さいと

 

あのままだったら

当然、頭がおかしくなっていたと思う

だから願ったよ

 

 

 

 

 

これで良かったんだろ

うん

これで良かったんだね

貴方には貴方の進むべき道が

 

 

 

知っていただろ

最後はどうなるかなんて

うん

知ってたけど

目を背けてたのさ

 

 

 

戻れたらいいね

うん

戻れたらいいな

 

 

でも

 

 

戻る場所も無いね

うん

そんな場所はもう無いね

 

 

 

そんな場所を探すかね

うん

そんな場所をもう一度

 

 

 

そんな事を考える夜は

ヤバいね

うん

かなりヤバいよ

 

 

 

もう頭がイカれちまってるのかな

いや

君ははじめから壊れていたよ

 

 

それでも

 

 

自分らしさ

 

とか

 

そんな物が残れば

 

まだ

 

lucky なのにね

 

うん

 

lucky なのにな

 

 

 

 

Pete Burns

 

 

 

失敗する事もそりぁ、あるさ

それでもまだ立ち続けなければ

ならないんだろう?

自分に必要な物だけを手にしたら

進むべき道を探せ

 

後悔する事もそりゃ、あるさ

それでもまだ踊り続けるしか

ないんだろうよ

目指すは

この世の美しい物ばかりを集めた

そんな場所

 

この世から消えるのは

もっと最後でいいだろ?

だから

決して怯えるな

悲観する必要なんて

無いのだから

 

もう泣く必要はないんだぜ

全ての星達が消えてしまっても

心配するな

もう一度、輝く日が来るのだから

 

悲しいと泣くのは

それからでもいいんだぜ

また会えるのさ

夜になって星達が輝き出すように

だから

再び出会えるのさ

それは必然だもの

 

 

 

 

 

そうゆう甘いところが

君の弱点

でも

その甘さってのがまた

君を魅了的にさせているのは確かで

 

つまり

 

君の甘さが

君の唯一の弱点

君の甘さが

君の唯一の魅力

 

伝えたい事は

多分

それだけ

 

 

 

 

 

牛柄のボディスーツを

見事に着こなした誰かが

「 ダンスフロアでトラブルだ 」

と叫んだ

バリトン調のその声は

人々を魅了するのに

そう時間はかからなかっただろう

 

your sweetness

is

your weakness

 

just for the sex of it

S...E...X

 

生きるか死ぬか

そんな事を考えてしまう夜には、、、

生きるか死ぬか

リズムに乗って踊るだけ、、、

 

生きるか、、、

死ぬか、、、

 

Dead

or

Alive

 

美しかった貴方へ

 

 

 

 

 

 

ピート・バーンズ に捧ぐ

Chester Bennington

妻の掌が僕の髪の毛を

どこまでも優しく優しく撫でてくれ

銀色に耀く鋏の

心地が良く軽い音と共に

いつの間にか長く伸びてしまっていた

髪の毛を切る

 

それを傍で見ている

まだ乳白色の年頃の幼い娘は

二人は一体、何をしているのかと

とても不思議そうな表情を浮かべながらも

健気にその様子をじーっと見ていた

 

次は君の番だからねと

妻が娘の頭を僕にする時より更に

優しく、優しく撫でていた

 

 

 

 

埃の溜まった細道で

淡い思い出だけを残して

錆だらけの曲がった道標は

いつも間にか朽ち果てて

 

故郷を煙らせる

何処からか降る天泣

心の琴線に触れたら

水平線へと去って

 

 

 

火の気の無い部屋を残す我ら

分かれ道だったとしても

後ろを降り向かないでいよう

 

それでも

 

火の気の無い部屋を残す我ら

もう二度と帰れない場所から

最初へ戻りたいと願う

 

 

結局、最後は

最初へ戻りたいと願う

 

 

結局、最後に

最初へ戻りたいと

そう願った

 

 

 

 

 

チェスター・ベニントンに捧ぐ

 

 

 

 

 

 

 

 

井上 大輔

風にひとりで

 

 

風にひとりで

静かにそっと

指を頬に当て

何故泣くのです

だって

この場所で

ただ私だけが

枯れて行くのかな

 

異国で育った私

連れて来られたのは

歓楽街にあるストリップ劇場

支配人の男は通常の人間より3倍早く

仕事をするのだとかしないのだとか

赤い服を身に纏い

やたらと私に馴れ馴れしい

けれども

私は心を触れられた気がした

そして

あの日から

私はララァと呼ばれた

今では全てが

遠い記憶の中の

 

 

 

 

 

ビギニング

 

 

ビギニング

見惚れていた

The  Smashing Pumpkins

1979の甘酸っぱいメロディーに合わせて

群れから逸れた白鳥のように

哀しげで不器用にポールダンスを踊る君に

だが

確かに誰よりも何よりも艶かしい

美しい物が嫌いな人がいるのかしらと

そのエメラルドグリーンの瞳で

君は僕に問うてるようで

 

眩い光を浴びながら

銀色のポールを握るその手つきで

しごいてほしい

テカリを帯び半開きになった唇で

含んでほしい

そんな青くさい想像をしていた

それも人の心理なのかもしれない

それとも

ただ出会うのが遅すぎただけなのか

それでも

時は健やかに

愛を育てるだろうか

 

 

 

 

 

めぐりあい

 

 

めぐりあい

そして

指名をした

ララァと言うのか

そして

二人は運命に弄ばれるように

店のプライベートダンスルームの中で

眼差しを交わし合う

 

あなたは

とても綺麗な目をしてるのね

守るべき人も

守るべきものも

無いというのに

それは不自然な事じゃなくて?

椅子に腰をかけた僕に跨り

下着を脱ぎながら君は言う

 

だから

だからって

どうだっていうんだよ

と形の良いやわらかな乳房を

両手で丁寧に触りながら僕は言う

 

浅黒い肌に

不釣り合いなほど突起した

淡いピンク色の乳首

そっと口づけをすると

君は

あぁ、時が見える

と言い

僕ら二人は大きな波の畝りのような

巨大な光に飲み込まれた

 

だが

唐突にその時間は終わる

戯言を止めろと言わんばかりに

支配人の男が

プライベートダンスタイムの終了を告げた

そして

次回から使用可能なサービス券を1枚手渡す

彼からの手向けなのだろうか

まるで同志になれとでも言わんばかりに

 

 



恋しくて募る思いが

いつまでもいつまでも

空を茜色に染めていた

そして

生命への愛しさに

己の胸を焦がし

その思いが空を染め上げる

 

ごめんよ

まだ僕には帰れるところがあるんだ

こんなに嬉しい事はない

わかってくれるよね

ララァにはいつでも会いにいけるから

 

 

 

 

でも

僕はすぐに後悔をする

連絡先くらい聞いておくんだったなと

その思いを知ってか知らずか

こうゆう時慌てた方が負けなのよね

と隣りを歩いている友達のシバテツが

得意の軽口をたたいていたが

その言葉はすぐに

街の喧騒に掻き消されていった

 

 

 

 

 

 

井上 大輔に捧ぐ

Prince Rogers Nelson

儚く散っている

それは誰かの想いか

それとも

 

ならば

その景色に

その速度に

音が存在するならば

僕には聞こえただろうか

 

 

 

もう行かなくちゃ

悪い人じゃないんだけど

誰かの変わりには決してなれない

言っておくけど

君の事が好きな訳じゃなく

ましてや

愛している訳でもなく

ただセックスがしたかっただけだから

それに

君の自慢の華奢な身体ってやつに

珈琲に入れる砂糖くらいほんの少し

興味があっただけ

それよりも

今は煙草さえあれば

他に何も要らない感じだし

悪いけど先に行くよ

もうここには用は無い

そう言って

昨夜からかかりっぱなしの

St.Elmos Fireのレコードから針を上げる

 

 

 

急に降り出した大粒の雨は

僕が思うよりもずっと早く

瞬く間に街を銀色に染め

アスファルトと混ざりあいながら

その独特なにおいを辺りに漂わせた

 

僅かに残った桜の花は

とうとうその勢いに耐えきれなくなり

まるで傘を持たない迷子のように

不規則に揺れながら

秒速5センチメートル

まるで誰かの想いのように

静かに儚く銀色の地面に散った

 

 

 

 


見惚れていた

赤いコルベット

そして

そこから降り立ったある人物に

 

彼女は濡れる事を微塵も気にする素振りを見せずに颯爽と歩き出すと、雨宿りしている僕の横にある自動販売機でマルボロメンソールを買う

そして

輝いているもの全てが黄金じゃないでしょ?

とでも言いたげな

そんな目をしながら

僕に微笑みかける

 

だが

次の瞬間

君は去る

赤いコルベットと共に

 

 

 


いつの間にか

雨は上がり

輝きを取り戻した太陽は

再び君を照らす為のみ

この街を今度は金色に染めた

 

彼女は美しさのそのほとんどを持っていた

 

想いは

たどり着かずに

紫色の雨となって

再び君を探す

 

 

 

 

プリンスに捧ぐ

Layne Staley

いつもの珈琲と

煙草の紫煙

 

絶え間なく鳴る音楽と

永遠に続くその余韻

 

時に

麻薬と称される

彼の歌声を

あの時

確かに聴いた

 

今ならきっと

僕の方が

咲き始めた桜を見ても

何の感情も生まれない

君の言った通りの

退屈な大人になってしまったのだと

 

 

 

少しだけ汗ばんだ掌が

春先に馴染む午後には

Depeche Mode の Enjoy The Silence が流れる

そんないつもの場所で

君としたとりとめもない会話を思い出す

 

 

サイフォンで淹れたマンデリンが

この世で一番美味しい珈琲なんだと君は言う

それから

僕にする時のように

器用に両手を使いながら

巻いたばかりの煙草に火を点けた

そして

そのバージニア葉の焼ける匂いと

この珈琲の相性が凄くいいのよと

何の屈託の無く僕に微笑んでから

君は最近聴き始めたばかりだと言う

[ Alice In Chains ]

と言うバンドについて静かに語り出す

まるで

固くなった僕の男性器を咥える時のように

ゆっくりとそれらを味わいながら

 

 

そして重ねた

お互いの指先

 

 

 

なのに

 

 

 

あれから君はシアトルで暮らしているという

ドメスティック気味な空模様と

朝から降り続く霧雨に飽きたら

そっと思い出してよ

あの時飲んだマンデリンの味と煙草の香り

そして

麻薬と称される

彼の終わることのない歌声を

 

 

そして僕は

カップの底に僅かに残るそれを飲み干して席を立ちながら

正直に生きて来れなかったと

何度目かの

軟らかな後悔をする

 

ただ君に

探して欲しかった

それだけだったんだ

暗いこの場所から

ただ

連れ出して欲しかった

光りに満ちているであろう

そっち側へと

 

そして

 

再び洪水に飲まれ

大きな過ちを犯した

 

Would?

 

 

だけど僕は

この感情の呼び方を

まだ

知らない

 

あの時

君が流した涙の理由も

 

 

 

そんな

忘れられない日々に

 

 

 

 

 

 

 

レイン・ステイリー に 捧ぐ