David Bowie

星々が自らの意志を持つように

その輝きで夜空を紅く染め上げる

戦場のメリークリスマスが過ぎた頃に

 

 

 


シリウスプロキオン、ペテルギウス

冬の大三角が手に取れる程の距離にあるような

そんな真冬の夜空を見上げている

 

罪を犯す事でしか生きられなかった僕は

もう何度、こうして星空を見た事だろう

そう想うと悲しくないのに何故か涙が溢れた

美しさの琴線に触れたように

とめどなく流れ出たそれは

僕の頬を伝い地面に

真っ黒い染みを作った

 

隣に君が居たらいいのに

でももう忘れているだろう

それくらいの時間はとっくに経って

しまっているのだから

今頃、異国の地で幸せに暮らしているのなら

それはそれで

君の人生が幸せに満ちているようにと

流れたばかりの星に願った

 

今すぐにでもあの場所に行けたらいいのに

それならばまずは月の近く

ベルベット色に光る火星にでも行ってみようか

ねぇ、ジギースターダスト

もしもまだそちら側に居るのなら

僕の願いを叶えてくれないか

 

 

 

 

あの日からどれくらいの日々が過ぎたのだろう

もう長いこと僕の首から下は地中に埋められ

今じゃすっかりその身体のほとんどが

土に還ってしまっている

それでもその瞳だけは

遥か遠い場所

宇宙の果てとも呼ばれるその場合に

静かに佇んでいるはずの

たった一つの黒い星を探し続ける

そしてまた

戦場のメリークリスマスが過ぎた頃

この場所で会おう

 

 

 

何処からか迷い込んで来た

限りなく白に近い青色の羽を持った

一匹の蛾が

そっと

寄り添うように

僕の額に止まっていた

 

 

 

 

デヴィッド・ボウイ に捧ぐ